理系への数学 2010年 03月号 [雑誌]

３体問題と「部分と全体」の３００年というコラムが面白い。系の中の要素、各要素間が相互作用するとき、相互作用の数の平均数がeを超えたら、系が複雑系になる確率が急速に上がり、これは広範な系に適用できる。と言う話。大言壮語な気もするが面白い。系という普遍的なものに適用できるのが非常に広範。このeという数字を頭の片隅に置きながら、同誌掲載のコラム、パラドックスの科学を読むとちょっと面白い。人数が増えたときの意思決定のパラドックスを取り上げている連載のようだが、これも意思決定にかんする相互作用の数がeを超えたからパラドックスが生まれているのかもしれない。ほかは普通に読む。この雑誌は、チャート式で数学'VＣをやり終えた後の人ぐらい向けかな。なんとなく、難しすぎず簡単すぎずいい雑誌。難しいのはなんとなくそんなものかと読んで、やさしいのはうむうむといいながら読む。各コラムが短いので時折取り出してぱらぱらと読んで、ちょっと考えて終わるには調度いい長さ。１年２年と付き合っているうちに、地層に泥が堆積するように、なんとなく広範な数学分野が頭に堆積するようなイメージの本だ。入門や事前学習にはいい雑誌だと思う。